配車とは?仕事の内容と難しさ

配車とは?仕事の内容と難しさ

配車とは?

配車とは物流業界の用語で、特定の配送先や荷物に合わせて適切な車両とドライバーを割り当てる業務を指します。配車業務を行うスタッフ自体を指して「配車」「配車係」「配車マン」とも呼びます。

この業務は、単に配送先と荷物の量を考えるだけでなく、ドライバーのスキルや個性、さまざまな条件を総合的に考慮する必要があります。

配車係は物流業界でのキャリアアップをするのスタート地点でもあるので、将来性のある職業と言えるでしょう。

主な配車の業務

会社によって配車の職務範囲は異なりますが、主な配車の業務は、以下のようなものが含まれます。小さな運送会社の中にはドライバーをしながら配車業務を行っている場合もあります。

  • 荷主(依頼主)とのコミュニケーション、依頼や変更の受付
  • 配車計画作成
  • ドライバーへの指示
  • 荷物と車輛のマッチング
  • 他の運送会社との協力依頼(庸車・物流コーディネーター)
  • クレームやトラブルの解決
  • 運行状況のモニタリング
  • 運転日報や伝票の整理

配車計画とは、荷物の配送依頼に基づいてトラックを効率的に配送する計画です。業務を効率化するための計画で、配送先までの最適なルート、積載量やドライバーのスキルや拘束時間の制限、時間指定や納品先での荷待ち時間などなど様々な条件を考慮する必要があり、そして少ない時間の中で作成する必要があります。

荷主からの配送オーダーに最適な配車を組む作業が含まれます。

配送時間の指定、適切な車両の割り当て、通行困難な地域や交通制約の考慮、そしてドライバーの適切な休憩時間と労働条件の設定などが必要です。

配車係は、ドライバーと同様に荷主との直接的なコミュニケーションも行うことが多く、依頼の受付や変更の調整などを担当します。

このように、配車係は様々な制約条件を考慮し、最適な配車計画を作成する責任があります。

配車に必要な資格は?

配車係には特定の資格は必要ありません

多くの運送会社では配車係として入社後、運行管理者の資格取得を目指す事が多いです。

配車に役立つ資格・経験

運行管理者

運行管理者は国家資格で、事業用自動車の運行を安全かつ効率的に管理する役割を担います。

車両台数が1〜29台の運送業者で最低一人が専任で務めなければならないという規定があります。小規模な運送会社では人手不足が深刻な問題であるため、運行管理者が配車係を兼任する場合があります。

トラックの運転免許・ドライバー経験

配車業務に携わる場合、トラックの運転免許…というよりドライバー経験があることは有利です。

  1. 状況理解力: 配車係がトラックの運転経験を持っていると、運転時の実際の状況やドライバーの視点を理解しやすくなります。これは適切なルートの選択や運転スケジュールの調整に役立ちます。
  2. 緊急時のサポート: 配車係はドライバーと連絡を取り、トラブルや緊急事態に対応することがあります。運転免許を持っていると、緊急時にドライバーに対するサポートが迅速に行え、問題の解決が効率的に進みます。
  3. トラックの特性を理解: 配車業務において、トラックの運転性能や積載能力などの特性を理解することは重要です。運転免許を持っていると、これらの特性をより的確に評価できます。
  4. 協力とコミュニケーション: 配車係はドライバーと協力し、コミュニケーションを円滑に行う必要があります。運転免許を持っている場合、トラックの運転に関する知識が共通の言語となり、コミュニケーションがスムーズに進むでしょう。

配車業務に向いている性格や特性

配車業務に向いている性格や特性は以下のようなものがあります:

  1. 組織力: 配車係は多くの要因を考慮しながら効率的なルートを計画する必要があります。組織力がある人は、複雑なスケジュールや多くの配送ポイントを管理しやすいでしょう。
  2. 柔軟性: 配車業務は急なトラブルやスケジュールの変更に柔軟に対応でき、冷静に判断できる性格は配車係に適しています。
  3. コミュニケーションスキル: 配車係はドライバーや荷主とのコミュニケーションを円滑に行う必要があります。良好なコミュニケーションスキルを持つ人は、課題の共有や問題の解決が効果的に行えます。
  4. 細部への注意: 配車計画を組む際には、細部の情報を見落とさないことが重要です。細かい情報に敏感で、注意深く作業できる性格は優れた配車係になります。
  5. 責任感: 配車係はドライバーの安全と荷物の適切な配達を確保する責任があります。責任感を持ち、課題を真剣に受け止めることが求められます。
  6. 問題解決力: 予期せぬ問題が生じることがあります。配車係は問題解決力を活用して、スムーズな配送プロセスを維持します。

これらの特性は、配車業務を効果的に遂行するのに役立つものです。ただし、配車係の仕事は多くの要素を組み合わせたものであり、様々なバックグラウンドや性格の人々が成功できる場合もあります。

配車に向いている・転職しやすい人

  1. トラックドライバー: トラックドライバーは配車業務に関連する実務経験を持つことが多く、その経験を生かして配車係に転職することが一般的です。
  2. 運行管理者: 運行管理者はトラック運行に関する幅広い知識と経験を持っており、そのスキルを配車業務で活用できます。
  3. 物流コーディネーター: 物流コーディネーターは輸送や配送の調整業務に従事し、配車業務に近いタスクを担当しています。この経験は配車業務への転職に役立ちます。
  4. カスタマーサービス: カスタマーサービスの経験を持つ人は、荷主とのコミュニケーションや課題解決のスキルを活かせるので配車業務に適しています。
  5. 地名等に詳しい:例えば旅行会社などで勤めていて地名などの知識が身についていると、配車業務に役立つこともあります。

これらの職業からの転職者は、関連するスキルや経験を持っているため、配車業務に比較的スムーズに転職できることがあります。ただし、配車業務に求められる具体的な要件は会社によって異なる場合があるため、具体的な求人情報を確認し、必要なスキルと資格を整理することが重要です。

トラックドライバーから配車への転向

トラックのドライバーから他社の配車係に転職、または自社内で転属する例が多い理由は以下のようなものがあります。

  1. 安定したスケジュールと生活: 配車業務はドライバーのように長時間の運転や不規則な勤務時間に悩む必要がありません。結婚や出産等を機に安定した生活リズムの業務を求めてドライバーから配車になるケースは多いです。
  2. 健康への配慮: 長時間の運転は肉体的および精神的に負担がかかります、これらの負担を軽減したいと考え、ドライバーから配車になるケースも多いです。配車業務はオフィスでの業務が中心であり、運転に比べてより健康的な作業環境を提供できます。
  3. 新たなキャリアチャンス: 配車業務は、運行管理者や物流コーディネーターなど、より高度なポジションに昇進するためのステップとなることがあります。ドライバーの経験を活かしつつ物流業界でのキャリアアップの為に配車になるケースも多いです。

ドライバーをしていて、配車に対してポジティブなイメージをもっている方は少ないのが実情です。それでも様々な事情からドライバーを辞めるとき、他業種へ転職してゼロからスキルを身につけるよりも、ドライバー経験を活かせる配車に転属し、物流業界でキャリアを築いていく選択をとる人は多いようです。

配車に転職後に大変な部分

配車に転職して大変だったと感じる部分には以下のようなものがあります。

  1. ドライバーからの不満: 配車の仕事はドライバーの仕事を左右します。ドライバーにとっては配車次第で、バラ積み等のキツイ仕事だったり、同じ距離を走っても歩合が安い仕事だったりしますので、不満を言われたり、場合によっては仕事を拒否されたりすることもあります。
  2. 数字への責任感: 配車業務は、会社の売り上げを左右する重要な役割を担っています。その為数字へのプレッシャーが大きい業務です。
  3. 電話が聞き取りにくい: 配車同士の電話では、前置き無しに配送先や荷姿などを伝えてやり取りしていることもあり、業界未経験の新入社員が電話を取ると「何を言っているのか聞き取れなかった…」という事態が良く起こります。次第に慣れて聞き取れるようになりますので焦らず対応しましょう。

配車の仕事の魅力は?

配車の仕事には以下のような魅力が挙げられます:

  1. パズルのような楽しさ: 配車は、トラックと荷物を効率的に組み合わせるパズルのような作業です。最適な組み合わせを見つけるために戦略的に考え、ロジカルなスキルを駆使する楽しみがあります。
  2. 責任と充実感: 配車は、荷物が時間通りに届くために欠かせない役割を果たします。顧客の期待を満たし、トラックと荷物の効率的な利用に貢献することで、充実感や達成感を得ることができます。
  3. 物流業界への貢献: 物流業界は経済に欠かせない部分であり、社会に多大な貢献をしています。配車業務を通じて、物流プロセスを改善し、効率的な運搬をサポートすることができます。
  4. 多様な業界と接点: 配車担当者は、さまざまな業界と接点を持つ機会があります。さまざまな種類の商品やサービスに関わり、業界知識を広げることができます。
  5. 労働市場の需要: 物流業界は需要が安定しており、配車の仕事は一般的に求人が多い傾向があります。したがって、就職機会が多く、安定性があります。
  6. スキルの向上: 配車の仕事では、組織力、コミュニケーションスキル、地理的知識、ソフトウェア操作スキルなど多くのスキルを向上できます。これらのスキルは他の職種でも活かせます。

これらの魅力に加えて、配車の仕事は物流業界でのキャリアのスタート地点としても適しており、経験を積むことで将来的な昇進や専門職への道が開ける可能性が高いです。


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